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不安定な視界、過敏な耳、震える心 第七章

取敢えず飛び出したはいいけれど、もう9時を回ってて友達のところにも行きづらいし、途方にくれてしまった。
明るい道の方へとなんとなくゆっくりと歩きはじめた。
「ふう、重い。」
思わず自分が呟いた言葉に気づいてぞっとした。
(何?重い?何が?)
足元を見るともなく見た、見てしまった、見るんじゃなかった。
(うわあああああああ!!!)
夜の住宅街、大声を出しちゃいけないと変な理性だけは働いた、けど、いきなり走っていた。
一人じゃ行った事のないゲーセン、でも、今一番人が居て明るいところ、そこに向かって思いっきり走っていた。
少し手前からスピードを落として、自動扉の前にどうにか息切れしてるのを我慢して隠して立った。
ガラスの扉が開いてゲーム機が弾き出す喧騒と普段よりちょっとカラフルな色彩を帯びた光が身体に付きまとっているものを流していってくれる感じがした。
何気ないふりを装いながら中に入り、ゲーセンに来るといつもやってるゲーム機の前に座った。
ポケットから財布を出そうと手をポケットに差し込むけど、細かく震えててうまく財布を掴めない。
深呼吸をして、まずは飲み物でも飲もうか落ち着け自分。
なんとなくふらふらする。全力疾走の後遺症かなあ?と思いながら自販機へ向かって歩いていた。
ゲームが終わりふと立ち上がったらしい男の人と、ぼーっと歩いていた私、タイミング良く?トンって感じでぶつかった。
力が入らないでいた私は
「あたっ」とすぐそこにあった椅子へ座ってしまった。
「あっ」、ごめんと言いかけた私の肩を、その男の人はいきなり摑んで睨みつけてきた。
(怖っ!)と思ったらY兄だった。そしていきなり、
「何があった?」怒ったような表情で聞いてくるY兄。
「え?え?」一体何のことを聞いてるの?まさか、さっきの?
Y兄は頭を振って、私の肩から手を離し、溜息をつくと
「なんか飲むか?」と聞いてきた。
「うん」胸が詰まって口から言葉が出づらかったけど、聞こえるくらいには返事が出来たようだ。
二人で自販機の所へ行って、Y兄からコーヒーをもらった。
黙って半分くらい飲んだところで、やっと声が出た。
「ありがとう、Y兄」
何故かY兄の顔を見れなかった。
「今から部屋行っていいか?」
「へ?私の部屋?」
突然女子の部屋に、それも夜に行っていいかなんて、絶対Y兄のキャラじゃない。
でも、ふざけてるんじゃないみたいだし、勿論告るなんて雰囲気じゃないし、なぜ?
「なんで私の部屋に?」
「ついてるのもあるけど、部屋にもあるんだよ、モノもエンも。」
「はあ?ついてる?モノ?エン?」
「とにかく行こう。壊されないうちに。」
マジな顔してるY兄に私は逆らえない。
行くっきゃないようだ。
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by tyrano | 2007-10-16 12:47 | 色々