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好きなのは尹子維!

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不安定な視界、過敏な耳、震える心 第六章

気がつくと時計は5時過ぎ、まだほの暗い感じが残っていた。
でも、もう、一人で居るのは怖くて怖くてとにかく私を受け入れてくれそうな、一番近くの友達を頭の中で探した。
女友達の部屋は少し遠かったり、下宿や寮で出入りが難しかったので男友達のT兄の所に取り敢えず飛び込んだ。
T兄のアパートはY兄も居て隣の部屋だから、誤解を避ける為にも二人一緒に起こせばいいと、迷惑な事を考えて行った。
でも、Y兄は前日友達の所にでも行ったようで留守だった。
しょうがないからT兄の部屋に入れてもらった。
T兄は、本当にいい人で、怯えている私を馬鹿にするわけでもなく落ち着くまで部屋に置いてくれた。
俺は押入れで寝てるからと私を布団に寝かせてくれた。
でも、もう、寝れるはずもなくなんとなく話をしていた。
正直言うとこの頃T兄ではなく、Y兄に少し興味を持っていたのだけどなんかタイミングがずれていた。
T兄にしても、傍から見ると私に甘甘な状態が一目瞭然の割には、彼氏が居ると言う事で二の足を踏んでいたらしい。
なんとか落ち着いて、授業に間に合うように部屋に帰った。
一通り授業に出て、バイトに行き、終わるともう8時だった。
でも、一人では居たくなかった。部屋に帰りたくなかった。
帰りがけにT兄の所によって、なんとなく話をしているうちに心細かった私はちょこんと、隣に座りT兄の肩に頭を預けた。
しばらく時が止まっていた。
私は、どうしようかな?嫌いじゃないしな、まあ、なるようになるか?
なんてお気楽な事を考えていたんだけどね。
と、その時、(あ、定時の連絡が彼から入るんだ。そろそろ帰らなきゃ。)
と我に返り、「そろそろ帰るね。電話来るから部屋に居なくちゃ。」と。
「そこまで送ってくよ、学校のそばは怖いんだろう?」
「ありがとう、大通りまで出いいよ。」
と、まじめに大通りまで送ってもらって部屋に帰った。
程なく電話が鳴った。
彼からの電話だった。
「もしもし、どうした?さっきかけた時出なかったぞ。」
咄嗟に「うん、ちょっとバイト長引いちゃって。」とうそを付いた。
「あまり、うぎゃぬおGrrrMuaaaa・・・」
「え?何言ってるの、何?その声?」
電話口から彼の声ではない何か別の声が、かぶさって聞こえてくる。
「おmAAAAAAえええええ、どうしんんんなああああんkkkkk」
「いや、気持ち悪い、やめて!!!!」
Batiiiiii!!!!
部屋の電気が消えた。
「もう駄目、もう駄目、部屋に居られない。」
そう、電話口に叫んで電話を切り部屋を飛び出した。
by tyrano | 2007-05-14 23:11 | 色々