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不安定な視界、過敏な耳、震える心 第五章

その後、私の祖父も小康状態を保ち東京で手術をして帰ってきた。
ちょっと離れてしまった彼のところへ、まあ、一泊くらいなら親にばれても大丈夫だろうと泊りに行った。
彼には彼の、新しい交友関係があって私は始めて行った部屋で3時間もほっとおかれた。
まあ、そういうことで待つのは苦じゃない性格だったので、なんとなくそこら辺の漫画を読んで待っていた。でも、友達となんか出かけなきゃいけない用事が出来たとかでいきなり最終の列車に乗せられ自分のアパートに夜遅く帰ってきた。
一体私はなんなんだろう・・・。
まあ、男には男の付き合いがあって、自分のプライドを守るために優先しなくちゃいけないのかな?
なーんてわかったふりをしていた。
でも、どんどん、私はきっとそういうことは我慢するものだと言う思い込みで、自分の首を絞めていった。
ある夏の暑い日、彼が友達を連れて私の住む市の古い建物や映画を観に来た。
見に行った建物は六角形の元病院として使われていた建物だった。
真ん中は中庭になっていて、内側の廊下から空を見上げるとまばゆいばかりの陽光が降り注いでいた。まぶしくて、ふと薄暗い廊下に視線を戻すと白いワイシャツに黒いズボンの痩せこけた男の人が立っていた。あ、皆まだ室内展示に夢中なのかな?と、一瞬目をそらした隙にその男の人は姿を消していた。その人が私が目を離した隙に動ける距離と言えばすぐそばの展示室に入る程度だろうと思って、その展示室を覗いたけど誰も居なかった。
帰りがけに事務室を覗き該当者がいるかと思ってよく見たけど居なかった。来訪者名簿には、その日は私たち以外の来訪者は記載されていなかった。きっと私は白昼夢を見たのだろう。
この頃はなんとなく彼との肌触りの違いがささくれの様にちくちく触って痛くてしょうがなかった。
彼と一緒に居たくて彼の部屋に行くとなぜだか、すぐ誰かが彼を部屋から連れ去ってしまう。
私は薄暗い彼の部屋に残されて、ただぼーっと漫画を読んでいるか転寝している。
そんなことが2,3回続いたある日、転寝していた私の耳にアパートの部屋のドアが開く音が聞こえた。起きようと思ったんだけど、何故か目が開かない。
でも、誰かかがドアから入ってくるのは見えている。
ずっずっと薄暗い台所を通り、私のそばまで来るといきなり私の胸を踏みつけた。
「え?苦しい、何?やめて!!」
私は目を開けていない。でも見える、私が金縛りにあった時私の足元から来た厚みのない黒いものが私の胸を踏みつけている。
すごい、胸が抜けそうに苦しい、助けて、誰か助けて。
いくらもがこうと、手を伸ばそうと、目を開けようとしても私の体はピクリともせず転寝の格好を崩さない。どんどん胸は苦しくなりそのうち私は気を失った。
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by tyrano | 2007-03-16 22:40 | 色々